企業理念の意義とは?目的や活用方法まとめ
企業理念は、企業の特徴を表現する1つの象徴であり、企業理念の存在しない企業は存在しないと言えるほど、企業経営において不可欠な要素です。しかし、企業理念に関して、作成しただけ、入社時に知っただけ、年に数回ある理念を学ぶ場で考えるだけなど、企業理念が形骸化している企業(及び企業理念の重要性を理解しつつも、漠然とした存在と捉えている社員)は少なくありません。
今回は、こうした企業理念に関して、その目的や特徴、活用のあり方などを包括的にご紹介します。企業理念の意義を再度理解していただき、自社の企業理念を見直す機会にしていただけますと幸いです。
【参考資料】ファミリーオフィスについて |
目次[非表示]
- 1.企業理念とは
- 2.ファミリービジネスにおける企業理念
- 3.企業理念を浸透させるには
- 4. 企業理念の参考例
企業理念とは
企業理念とは、企業の存在理由として掲げる、創業者の想いが反映された概念です。業種や業態、規模などに拘らず、全ての企業は、企業活動を通じて、何かしらの社会課題を解決することを目的に事業を始めた経緯があります。
そうした背景のもとに創られた企業理念は、全ての役員・従業員が、あらゆる企業活動を行う上での原点となる考え方と言えます。また、昨今、企業経営のあり方に関して、パーパスの見直しが市場から強く求められています。自社の存在意義を見直し、社会に何をもたらすのか、明確にすることが企業の中長期的な価値向上をもたらすのです。企業理念そのものが、業績にどれ程影響を与えるのか具体的に計測することは困難であるものの、明快で理路整然とした理念無くして企業が持続的に繁栄することも難しいのが自明です。
企業理念はその内容や背景を理解するだけでなく、具体的な活動レベルに反映することで、初めてその価値を発揮できるのです。
ファミリービジネスにおける企業理念
ファミリービジネスにおいては、企業理念を創った創業者及びその一族が株主としての役割も果たすため、現在の企業経営が企業理念から逸脱したものでないか、精緻に判断できます。
それ故、創業家一族が、ファミリービジネスの企業理念をどれ程理解しているかにより、経営執行だけでなく、業務監督においてもそのパフォーマンスに大きな差を生じやすくさせます。ファミリービジネスが継続的な成長を遂げるには、創業家一族は、企業理念の基底となる一族が大切にしてきた価値観を整理し、後継世代へ引き継ぐことが重要です。その観点からも、ファミリービジネスの創業家一族には、ファミリーガバナンスの整備が求められているのです。
詳細は、別記事「ファミリービジネスにおける企業理念」をご参照ください。
企業理念を浸透させるには
企業理念を浸透させる基本的な手法は、定期的に企業理念を学ぶ場を設けることです。しかし、それだけでは不十分で、目に見える効果と連動する形で企業理念を浸透させるための施策を併せて行うことが、企業理念の浸透を促進するのです。典型例としては、企業理念をコンセプトにおき開発した商品の売上目標の達成や企業理念を落とし込んだ提案を顧客から賞賛され、契約締結に至ったことなどが挙げられます。
こうした成功体験はその大小に拘らず、自社の企業理念の正当性及び重要性を実体験として認識できる機会となり、企業理念を重宝した言動を心掛ける契機になります。そうした経験を積み重ね、徐々に自身のオリジナリティを業務に反映することで、さらなる付加価値とモチベーションの向上も社員にもたらすのです。
詳細は、別記事「企業理念の浸透|創業者の想いを受け継ぐ方法を紹介」をご参照ください。
企業理念の参考例
企業理念は各社各様であり、どの様な企業理念が正しいのか判断することは容易ではありません。さらに、企業理念が企業価値にどれ程の効果を与えるのか、直接、数値として実証する術がないこともあり、企業理念の重要性に対する認知度も個人個人で異なります。
しかし、他社の企業理念の内容やその背景、浸透手法などを知ることで、自社の企業理念に付加価値をもたらす契機になり得るかもしれません。
別記事「企業理念の参考にすべき3つの事例をプロが詳しく解説」では、Amazon、サントリーグループ、カヤックの3社の企業理念を紹介しております。各社の特徴は次の通りです。Amazonは、企業理念を浸透させる活動の1つとして、創業時のエピソードにちなんだユニークな賞を設け、社員のインセンティブ向上と共に企業理念の浸透を実践しています。サントリーグループは、創業者の理念を企業理念に組込んでいることを明言し、各種の企業活動にそうした理念を反映させています。カヤックは、上記2社とは規模や創業年数は異なりますが、企業理念を大変重宝している企業です。同社は常に社員と共に理念をアップロードしていくために様々な情報発信や取組みを展開しております。
企業理念は、概念上の存在でしかないという特性から、その価値を真に把握できていなければ、日常的に意識することは難しいものです。また、当然ながら自発的に企業理念を受け入れることで、企業理念はより高い効力をもたらします。
企業理念を策定・浸透する役割を担う方は、どうすれば社員や社外の関係者が自然と企業理念を受け入れるのか、常に探究していく柔軟な姿勢が求められています。
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