いま自分達の会社の株式を持って経営に関与している一族は、自分の家族だけと少ないのですが、家族憲章を作ることに意味はあるのでしょうか?
確かに現在では、一族の関係者が少なく、同時に関係性が良い場合では、家族憲章の有無がファミリーガバナンスに与える影響は小さいかもしれません。しかし、世代が進むことで一族の関係者が増えていきます。すると利害関係が複雑になり、一族全体で現在のような親密なコミュニケーションを持つことも次第に困難になるため、潜在的な利害対立が顕在化しやすくなります。ですが、一族の団結に対して利害対立自体は必ずしも悪ではありません。関係者が増えることによる、ある程度の利害対立の発生を前提としてルールを作り、一族がコミュニケーションを通じて状況をコントロールできるようにする管理の仕組みを持つことが大切であり、この仕組みがファミリーガバナンスと呼ばれるものです。ご一族様のコミュニケーションが良好な今のうちに、次世代以降に、こうしたファミリーガバナンスの土台を作ることは意味のあることだと思います。
どのようなステップで家族憲章は作るのでしょうか?
一般的にはまず、作成に向けて関与されるご一族様に対して、家族憲章作成の意義をご理解していただき、ご一族様の中から憲章作成に具体的に関与されるメンバーを選びます。選ばれた方と私たちとでご一族様に関する外形的な情報を収集し、その情報を基にご一族様や、ご一族様が経営する事業の非一族経営陣の方等にインタビューを行い、必要な情報を収集します。集めた情報を基に、作成メンバーの方と私たちとで議論を重ねて一族が共有すべき理念やルールの内容を決定します。そして、ドキュメントをご一族様の方にお見せし、必要な修正を行い、ご一族様全員の合意を得て完成となり、その後定期的な会議体を通じて運用が行われていきます。
家族憲章作成に向けて一族の理解を得ることが難しい場合はどうしたらよいでしょうか?
本格的なコンサルティングの前に、ご一族の方に参加いただき、同族企業として持続的に発展することのご一族様にとっての意義等をご一緒に再確認し、整理するワークショップもご用意しております。家族憲章作成自身のプロセスだけでなく、作成に向けて一族で同じ方向を向くためのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
家族憲章の作成等、部分的な依頼をすることは可能でしょうか?
お客様のご要望に応じてオーダーメイドで柔軟に対応いたします。もっとも、一族の個々のメンバーをよく理解し、事業を経営する集団としての一族の使命や価値観、こう在りたいという長期ビジョンなどを改めて確認し、その結果、一族の絆を強めるということが家族憲章作成の大きな目的です。この結果、集団としてメンバーの個々の強みや集団としての明確なミッションを理解し、共有している一族が一族事業を支えるとき、ファミリービジネスは本来の力を発揮します。一族と一族事業が互いに支え合いながら成長し、一族と一族事業の永続化が強化されていきます。
こうした一族の絆やファミリービジネス自体のガバナンスを支える根本規範が家族憲章です。家族憲章を根本規範としての目的を果たす生きたルールにするためには、作成することよりも、むしろ、定期的な会議体で運用し、一族や一族事業を取り巻く内外の環境変化にタイムリーに対応して必要な修正を加えていくことがむしろ重要です。そのため、仮に私たちがお手伝いをしなくとも、ご一族様自らの手によって、是非定期的な会議体の開催に取り組んでいただけたらと思います。また、家族憲章だけでなく、一族史の作成などを部分的にご依頼されることもございますので、どのような部分的なご相談もご気軽にご連絡ください。
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