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事業承継の失敗は「家族の問題」から始まる!ファミリービジネスの失敗・成功事例に学ぶ承継戦略

日本企業の多くはファミリービジネス(同族企業)であると言われています。

ファミリービジネスは創業者の想いや価値観が事業に反映されやすく、長期的な視点で迅速な意思決定のもとに経営が行われるという強みがあります一方で、親族関係が経営に影響しやすい構造を有しているため、一般企業にはない特有の課題も抱えています。

特に事業承継の場面では、

  • 後継者選び
  • 自社株の承継
  • 先代と後継者の関係
  • 親族間の利害調整

など、多くの問題が同時に発生します。

実際に事業承継をきっかけに業績が悪化したり、一族が分裂したりするケースも少なくありません。

本記事では、ファミリービジネスの事業承継における失敗事例と成功事例を紹介しながら、承継を成功へ導くポイントについて解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.ファミリービジネスの事業承継が難しい理由
    1. 1.1.所有と経営に関する承継準備
    2. 1.2.家族の感情が経営問題になる
    3. 1.3.変革と伝統のバランスが難しい
  2. 2.【ファミリービジネスの失敗事例】先代が築いた伝統と後継者の改革が衝突した事業承継
    1. 2.1.失敗事例概要
      1. 2.1.1.承継後の変革が対立を招くことに
      2. 2.1.2.【結果】社内紛争は会社の存続を揺るがす事態へ発展
    2. 2.2.【失敗事例から学ぶ】なぜ社内紛争を招いてしまったのか
  3. 3.ファミリービジネスの事業承継でよくある失敗パターン
    1. 3.1.失敗パターン➀:後継者だけ決めて承継計画を作らない
    2. 3.2.失敗パターン②:自社株対策を後回しにする
    3. 3.3.失敗パターン③:家族間の合意形成ができていない
    4. 3.4.失敗パターン④:先代経営者が完全に権限移譲できない
    5. 3.5.失敗パターン⑤:後継世代が先代の理念や考え方を十分に理解できていない
  4. 4.【ファミリービジネスの成功事例】創業家と経営陣の役割分担により、成長し続けた清水建設と事業承継
    1. 4.1.成功事例概要
      1. 4.1.1.社長の急逝を機とした事業承継をきっかけに「所有」と「経営」を分離
      2. 4.1.2.【現在も】創業家と会社が共に歩む仕組みを構築
    2. 4.2.【成功事例から学ぶ】なぜ清水建設は事業承継を成功させることができたのか(ポイント3つ)
      1. 4.2.1.成功のポイント①:創業家固有の役割を明確にしていること
      2. 4.2.2.成功のポイント②: 関係者間での対話を続けている
      3. 4.2.3.成功のポイント③: 所有と経営を分離する選択肢が取れたこと
  5. 5.ファミリービジネスの事業承継を成功させる5つのポイント
    1. 5.1.成功ポイント➀:早期に事業承継計画を策定する
    2. 5.2.成功ポイント②:後継者育成を計画的に行う
    3. 5.3.成功ポイント③:資産承継の準備を進める
    4. 5.4.成功ポイント➃:家族会議やファミリーガバナンスを整備する
    5. 5.5.成功ポイント⑤:外部専門家を活用する
  6. 6.ファミリービジネスの事業承継は「会社」だけでなく「一族」の承継が重要
  7. 7.ファミリービジネスの事業承継でお悩みの方へ

ファミリービジネスの事業承継が難しい理由

ファミリービジネスでは、「会社」と「家族」の問題が密接に結びついています。

一般企業の後継者問題が経営課題であるのに対し、ファミリービジネスでは経営課題に加えて家族間の感情や相続問題も関係してきます。

特に次の3つは、ファミリービジネス特有の課題といえます。

所有と経営に関する承継準備

創業者やオーナー経営者は、大株主でありながら経営者も兼ねているケースが一般的です。

そのため事業承継では、

  • 株式を誰が引き継ぐのか
  • 経営を誰が担うのか

という2つの問題を同時に考える必要があります。

「所有」と「経営」が密接に結びついていることは上記のとおりファミリービジネスの強みである一方、両者の整合性を取ることが不可欠であり、その結果、事業承継の準備を複雑にしているのです。

また、株式を保有する人と経営を担う人が異なる場合には、株主と経営者の間で利害が対立する可能性もあります。こうした所有と経営が分離している、あるいは今後分離することが見込まれるファミリービジネスは、大株主である創業家と非創業家の経営陣の間での円滑なコミュニケーション関係の維持・構築も考慮した事業承継プランの策定とその実行が求められ、事業承継の難易度が高くなりやすいのです。

家族の感情が経営問題になる

ファミリービジネスでは、親子関係や兄弟姉妹の関係が、そのまま経営に影響することがあります。

例えば、

  • 誰を後継者にするのか
  • 自社株をどのように承継するのか
  • 相続財産をどう分配するのか

といった判断は、経営上の合理性だけでなく家族としての公平性も求められます。

経営の視点では正しい判断であっても、家族としては不公平に感じられることもあります。特に、後継世代のうち経営に関与する者と関与しない者がいる場合には、承継する財産の種類や金額などに関する整理がより重要となります。

こうした準備が不十分のまま承継を迎えてしまうと、親族間トラブルを引き起こし、その結果、事業へ影響を及ぼしてしまうケースも珍しくありません。

変革と伝統のバランスが難しい

企業が成長し続けるためには、市場環境や顧客ニーズの変化に合わせて変革を続ける必要があります。

しかし創業者や先代経営者にとって、長年築き上げてきた事業は単なる仕事ではなく、自らの人生そのものでもあります。

そのため後継者が新たな経営方針を打ち出した場合、それが会社のための改革であったとしても、「これまでの経営の否定」と受け取られてしまうことがあります。

一方で、変化を拒み現状維持を続ければ、企業はやがて競争力を失ってしまいます。

ファミリービジネスの事業承継で難しいのは、「伝統を守ること」と「変革を進めること」の両方が必要になる点です。

伝統か改革かの二者択一ではなく、創業家が築いてきた強みや価値観を活かしながら、時代に合わせて進化していくことが求められます。

【ファミリービジネスの失敗事例】先代が築いた伝統と後継者の改革が衝突した事業承継

失敗事例概要

ある企業では、創業者が一代で売上700億円規模まで成長させました。

その後、後継者である子息が入社し、約15年かけて社長へ就任しました。

ところが事業承継後、大きな問題が発生します。

承継後の変革が対立を招くことに

後継者は業績回復を目指し、これまでの富裕層向け会員制ビジネスから大衆向けビジネスへの転換を打ち出しました。しかし、その改革は創業者が長年築いてきた経営方針や事業モデルを大きく見直す内容でもありました。

その結果、創業者や側近幹部との対立が深まり、社内紛争へと発展します。さらに対立は経営陣だけでなく一族内にも広がり、創業者側と後継者側に分かれて対立する事態となりました。

【結果】社内紛争は会社の存続を揺るがす事態へ発展

本件の決着としては新社長側が経営権を握り、創業者側は会社から追い出される形となり、別会社を立ち上げることになりました。

それから数年後、会社を受け継いだ新社長側は業績悪化に伴い、大企業に吸収合併され、会社は消滅しました。一方で、創業者側の会社は売上額こそは縮小しましたが、着実に業績を積み重ね、現在は安定した経営を持続しています。

【失敗事例から学ぶ】なぜ社内紛争を招いてしまったのか

この事例の本質は、「改革」をしたこと自体が問題だったわけではありません。

承継時には売上が下降傾向にあり、企業として変化への対応は必要でした。

問題は改革の進め方にありました。

後継者は変革を進める一方で、先代や組織との合意形成を十分に行うことができず、結果として改革が「会社の未来のための施策」ではなく「先代の否定」と受け取られてしまったのです。

<失敗の原因>

  • 先代と後継者の対話不足

  • 承継前の合意形成不足

  • 伝統を否定するような改革

  • 一族内の意思統一不足

  • 急激な経営変革

  • 一族内の紛争が起きた際の解決方法や調停役の欠如

ファミリービジネスにおいて創業者は、会社を単なる事業とは考えていないケースが少なくありません。

創業時の資金調達や苦しい経営環境を乗り越えながら会社を成長させてきた創業者にとって、会社は人生そのものであり、自らの価値観や信念が反映された存在でもあります。

そのため、後継者が従来の経営方針を大きく変更しようとした場合、経営戦略への意見の違いではなく、自分自身の否定として受け取られてしまうことがあります。

一方で、企業が持続的に成長するためには、環境変化に応じた変革も不可欠です。

ファミリービジネスに求められるのは、伝統か改革かの二者択一ではありません。事業承継時の経営変革では、「革命的な改革」ではなく「進化的な改革」が必要です。

先代が築いた伝統や価値観を尊重しながら、その土台の上に新たな取り組みを積み重ねていくことが重要になります。

ファミリービジネスの事業承継でよくある失敗パターン

事業承継の現場では、「後継者が決まらないこと」が問題だと思われがちです。

しかし実際には、後継者が決まった後に発生する問題によって承継が失敗するケースも少なくありません。

ここではファミリービジネスで特によく見られる失敗パターンをご紹介します。

失敗パターン➀:後継者だけ決めて承継計画を作らない

「長男に継がせる」「親族に継がせる」という方針だけが決まり、具体的な承継計画がないケースがあります。

しかし事業承継では、

  • いつ経営権を移すのか
  • どのタイミングで株式を承継するのか
  • 金融機関への説明をどう行うのか
  • 社内でどのように権限移譲するのか

といった論点を整理する必要があります。

後継者を決めることはスタート地点であり、承継計画の策定こそが本番といえるでしょう。

失敗パターン②:自社株対策を後回しにする

オーナー企業では、自社株が創業家の重要な財産になっています。

事業が順調に成長している企業ほど株価が高くなり、承継時に想定以上の相続税や贈与税が発生することがあります。

また、自社株を複数の親族が相続すると、

  • 株主間対立
  • 経営権争い
  • 意思決定の停滞

などが起こる可能性もあります。

事業承継を考える際には、自社株の評価や承継方法について早期から検討することが重要です。

失敗パターン③:家族間の合意形成ができていない

ファミリービジネスの事業承継は、経営問題であると同時に家族問題でもあります。

例えば、

  • 長男が会社を継ぐ
  • 次男は会社に関与しない
  • 保有財産の大半が自社株

というケースでは、相続の公平性をめぐって不満が生じることがあります。

経営の視点では株式を集中させた方が望ましい一方で、相続の視点では公平性が求められるためです。

このバランスを十分に検討しないまま承継を進めると、将来的な親族間トラブルにつながる可能性があります。

失敗パターン④:先代経営者が完全に権限移譲できない

事業承継を行ったにもかかわらず、実質的には先代経営者がすべてを決定しているケースがあります。

ファミリービジネスでは創業者が会社と一心同体であることが多く、「任せたいが任せきれない」という状況になりやすいのです。

しかし、

  • 従業員がどちらの指示を優先すべきか分からない
  • 後継者の求心力が高まらない
  • 経営責任が曖昧になる

という問題が発生します。

失敗パターン⑤:後継世代が先代の理念や考え方を十分に理解できていない

経営権、株式やその他財産を上手く後継世代に承継して事業承継を滞りなく終えたものの、根底にある一族及び企業としての理念や考え方を後継世代が十分に理解して実践できていないと、後継世代による一族運営及び事業経営に陰りをもたらす恐れがあります。特に複数名で株式を承継し、経営を担う際には理念や考え方はその存在意義をより強くします。

しかし、

  • 先代が急死してしまう
  • 理念や考え方等の目に見えない資産を承継財産として考えない
  • 一族運営及び事業経営に関する後継世代間での方向性が異なる

などの理由により、不十分な事業承継を行うケースも散見されます。

先代以前の方針をそのまま踏襲する必然性はありませんが、その方針を踏まえた上で、後継世代自身の考えを適切に反映することが重要です。

【ファミリービジネスの成功事例】創業家と経営陣の役割分担により、成長し続けた清水建設と事業承継

ファミリービジネスの成功事例として取り上げさせていただく企業は大手ゼネコンである清水建設です。

清水建設は200年以上の歴史を持つ企業でありながら、創業家と経営陣が適切な関係を築き、世代を超えた事業承継を実現してきました。

創業家が企業との関係を維持しながらも、経営体制を時代に合わせて進化させてきた同社の歩みから、ファミリービジネスにおける事業承継成功のポイントを見ていきましょう。

成功事例概要

遡ること1966年、当時の6代目社長が急逝したことにより、事業承継の判断が求められました。

本来であれば創業家から後継者が選ばれるところでしたが、6代目社長の実子は当時26歳と若く、経営を担うには時期尚早と判断されました。

社長の急逝を機とした事業承継をきっかけに「所有」と「経営」を分離

そこで清水建設は、創業家出身ではない人物を7代目社長に選任します。

一般的なファミリービジネスでは、血縁を優先するあまり経営体制に無理が生じるケースもあります。しかし清水建設は、「誰が会社を所有するか」と「誰が経営を担うか」を分けて考える判断を行いました。

この決断が、その後の持続的な発展の土台になったと考えられます。

【現在も】創業家と会社が共に歩む仕組みを構築

2026年現在、同社の取締役には清水家一族を代表して清水宗家当主が就任しており、経営陣と長期的な視野に基づき経営及び業務執行を監督する立場にあります。清水家一族は経営に直接関与するわけではありませんが、安定大株主として会社と長期的な目線で共に歩む仕組みが作られています。こうして長年清水一族と清水建設は築き上げてきたものを次世代においても引き継いでいこうと取り組まれています。

創業家は経営の第一線に立つわけではありません。一方で、会社との関係を完全に断っているわけでもありません。

現在も創業家は会社の重要なステークホルダーとして関わり続けており、長期的な視点から経営陣との対話を行う仕組みが整備されています。

創業家は企業理念や歴史を受け継ぐ存在として企業を支え、経営陣は事業環境に応じた意思決定を担う。

こうした役割分担が、長期的な企業価値向上につながっています

【成功事例から学ぶ】なぜ清水建設は事業承継を成功させることができたのか(ポイント3つ)

7代目社長は就任時に「清水家当主を先頭にして有能な社員がこれを補佐し、協力して永年の伝統の利点を生かすのが、当社にとって営業上最も有利である」と発言されており、これが今の清水建設の原型となっていると考えられています。

このように清水建設は創業家と経営陣がそれぞれの役割を明確にしながら、今もなお、長期的な発展を実現しています。ここでは、同社の事業承継が成功した3つのポイントを見ていきましょう。

<成功のポイント>

  • 創業家固有の役割の明確化
  • 関係者間での継続的対話
  • 所有と経営を分離する選択肢の存在

成功のポイント①:創業家固有の役割を明確にしていること

ファミリービジネスにおいては、経営者が交代しても創業家としての意向が反映されやすい構造を有しています。

清水建設の事例において、所有と経営を分離している上場企業の要素もありますが、創業家として安定大株主であり続け、当社の取締役にも就く意義をステークホルダーに明示していることが特徴的です。

創業家は企業の短期的な成果だけではなく、

• 会社の存在意義

• 企業文化

• 社会的信用

• 顧客との関係

• 従業員との信頼

といった無形資産の承継もより重視できる立場にあることは、上場・非上場、また、所有と経営の一致・分離に関係なく、創業家固有のものです。

そうした役割があるからこそ、特定の経営者の力量のみに依存するのではなく、世代を超えて企業価値を高め続ける創業家内の仕組みづくりも行うことが、企業の持続的な成長及び一族の繁栄に寄与します。

ファミリービジネスの事業承継は、単なるバトンタッチではありません。企業が100年、200年と存続していくための土台をつくる経営戦略の一つといえるでしょう。

成功のポイント②: 関係者間での対話を続けている

事業承継は、経営者交代の瞬間だけを指すものではありません。

承継後も創業家内、また創業家と経営陣の関係性をどのように維持していくのかが重要になります。

清水建設では、創業家と非創業家の経営陣が継続的にコミュニケーションを図る仕組みの存在が窺え、それが長期的な企業経営を支える基盤となっています。

こうした基盤は所有と経営が分離したファミリービジネスだけでなく、上記の失敗事例のような所有と経営が一致しているファミリービジネスでも同じく重要になります。

失敗事例では、後継者が改革を進める過程で創業者との対話が不足し、一族や組織の分裂につながりました。一方で成功事例では、対話の仕組みが存在したことで、創業家と経営陣が同じ方向を向きながら企業経営を続けることができています。

ファミリービジネスにおいては、「誰が経営するか」だけでなく、関係者間で「どのように意思疎通を続けるか」も重要な経営課題なのです。

成功のポイント③: 所有と経営を分離する選択肢が取れたこと

清水建設の事例で注目すべき点は、創業家が経営の第一線から退きながらも、大株主として企業との関係性を維持していることです。

ファミリービジネスでは、「株主であること」と「経営者であること」が一体化しているケースが大半です。しかし、企業の成長ステージや経営環境の変化によっては、創業家の人材が経営者となることが企業にとって最適解とは限りません。

清水建設では、創業家は安定大株主として企業を支える一方で、実際の経営は専門性を有する非創業家の経営陣に委ねています。こうした体制により、創業家が持つ長期的な視点と、経営陣が持つ実務的な経営能力の両立が可能となっています。

しかし、ファミリービジネスとして所有と経営の分離を行うことは容易ではありません。所有と経営を分離した体制ではファミリービジネスの強みを活かしきれない、さらには経営に密に関与しない者がオーナーであることによって事業に混乱を招く恐れがあるため、所有と経営の一致が維持できないのであれば、事業売却を選択する創業家も少なくないと推察できます。

清水建設において、所有と経営を分離せざるを得ない状況にあった可能性もありますが、上記の7代目社長の発言から窺えるように、創業家と非創業家の経営陣がお互いの役割を明確にし、協調し続けてきたことが今日の体制に至ったと見受けられます。

ファミリービジネスの事業承継を成功させる5つのポイント

失敗事例と成功事例を比較すると、承継を成功させている企業には共通点があります。

その共通点を5つご紹介します。

成功ポイント➀:早期に事業承継計画を策定する

成功している企業ほど、事業承継を「将来考えること」ではなく「今から準備すること」と捉えています。

一般的に事業承継には5年から10年以上かかることも珍しくはなく、後継者育成、株式対策、組織体制の整備などを考えると、十分な準備期間が必要です。

創業者が元気なうちから計画的に進めることで、後の事業承継の際にさまざまな選択肢を確保することができます。

成功ポイント②:後継者育成を計画的に行う

後継者には経営知識だけでなく、企業文化や創業理念を理解することも求められます。

特にファミリービジネスでは、「なぜこの会社が存在するのか」という創業者の想いが重要な経営資産になっています。

成功している企業では、社長就任前から重要な経営会議や金融機関との交渉に同席させるなど、実践的な育成を行っています。

成功ポイント③:資産承継の準備を進める

事業承継では経営承継ばかりに注目されがちですが、資産承継も同じくらい重要です。

経営者自身が、

  • 自社株
  • 不動産
  • 金融資産

をどのように次世代へ引き継ぐかを整理しておかなければ、承継後に大きな問題が発生する可能性があります。

成功している創業家ほど、経営の承継と資産の承継を一体的に考え、自分たちにとって最適な承継計画を着実に実行しています。

成功ポイント➃:家族会議やファミリーガバナンスを整備する

ファミリービジネスにおいては、会社の会議だけではなく家族の対話の場も重要です。

近年は、

  • ファミリー会議
  • 家族憲章
  • ファミリーガバナンス

などの取り組みを導入する企業も増えています。

どのような価値観を大切にし、どのような一族を目指すのかを共有することで、将来の対立リスクを軽減できます。

成功ポイント⑤:外部専門家を活用する

事業承継には、

  •  経営
  •  税務
  •  法務
  •  相続
  •  不動産

など多面的な論点があります。

そのため一つの専門分野だけで解決できるものではありません。

特にファミリービジネスでは、経営承継だけでなく一族の将来像まで見据えたサポートが求められます。

早い段階から専門家チームを活用することで、より円滑な承継を実現しやすくなります。

ファミリービジネスの事業承継は「会社」だけでなく「一族」の承継が重要

本記事で紹介した失敗事例と成功事例は、一見すると全く異なるように見えます。

しかし両者を分けた本質的な違いは、「事業承継をどのように捉えていたか」にあります。

失敗事例では経営改革が中心となり、創業者や一族との関係性の承継が十分ではありませんでした。

一方、成功事例では創業家と会社の関係性そのものを次世代へ引き継ぐ仕組みが構築されていました。

ファミリービジネスにおける事業承継とは、単なる社長交代ではありません。

承継すべきものは「経営承継」「資産承継」「一族承継」の3つです。

この3つが揃って初めて、持続的なファミリービジネスの事業承継が実現します。

そして、多くの企業が見落としがちなのが「一族承継」です。

<一族承継が重要な理由>

  • 経営承継だけでは問題は解決しない
  • 相続問題が後から表面化する
  • 親族間の対立が事業に影響する

会社を引き継ぐだけではなく、一族として何を守り、何を次世代へ託すのか。

その視点を持つことが、100年企業、200年企業への第一歩になるのではないでしょうか。

ファミリービジネスの事業承継でお悩みの方へ

青山ファミリーオフィスサービスでは、事業承継・相続対策・資産管理・ファミリーガバナンスなどを総合的にサポートし、創業家の持続的な発展を支援しています。ファミリービジネスの事業承継でお悩みの方はご相談ください。

【参考資料】ファミリーオフィスについて

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米田 隆(監修)
米田 隆(監修)
早稲田大学商学学術院 ビジネス・ファイナンス研究センター 上級研究員(研究院教授) 公益社団法人日本証券アナリスト協会プライベートバンキング 教育委員会委員長 株式会社青山ファミリーオフィスサービス取締役 早稲田大学法学部卒業。日本興業銀行の行費留学生として、米国フレッチャー法律外交大学院卒業、国際金融法務で修士号取得。金融全般、特にプライベートバンキング、同族系企業経営、新規事業創造、個人のファイナンシャルプランニングと金融機関のリテール戦略等を専門とする。著書に『世界のプライベート・バンキング「入門」』(ファーストプレス)、訳書に『ファミリービジネス 賢明なる成長への条件』(中央経済社) 等

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