事業承継の準備で絶対に失敗しないための5つのポイント
自身の万が一の際、一族と一族事業の混乱を最小限に抑え、円滑な一族運営と事業経営を維持し、更なる発展を実現するため、事業承継は、後継者育成や株式の承継、納税資金の確保など様々な面からの準備を計画的に進めることが重要です。
今回は、事業承継に際し、経営者及びその一族で準備をするべき項目に関して紹介していきます。
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目次[非表示]
- 1.事業承継の5つの視点
- 1.1.円滑な経営承継のプラン
- 1.2.円滑な財産承継のプラン
- 1.3.相続税の納税資金の確保
- 1.4.財産の運用と保全
- 1.5.まさかへの備え
- 2.事業承継の円滑な準備のために
事業承継の5つの視点
円滑な経営承継のプラン
一族事業を円滑に次世代に引き継ぐためには、事業の持続性及び成長性、後継者、財務体力などに関し、それぞれ現況と事業承継後に目指す姿を事前に明確にすることが重要です。
円滑な財産承継のプラン
一族の持つ財産に関しても、一族全体の合意の基に承継方針を決めておく必要があります。特に、企業オーナーは財産の全体額に対する会社株式の価値の占める割合が高い傾向にあります。それ故、株式を承継する方とそれ以外の資産を承継する方では、金額的公平性を保つことが難しいケースもまま見られ、トラブルの火種になり兼ねません。
相続税の納税資金の確保
一族の持つ財産が換金しにくいものに偏ると、相続時に納税資金を一族で確保できなくなる恐れがあります。特に、株式を承継する方は、他の一族より多額の相続税が課税されることが多いため 、納税資金確保のための十分な計画が必要となります。多くのケースにおいて、納税資金捻出に会社資金を使わざるを得ないことから、こうした事態も想定した会社の財務体質強化が大変重要です。また、会社業績が順調な場合、株価は上昇し、必要な納税資金も増えていくため、10年後や20年後も見据えた強固な財務体質実現が事業承継を乗り越えるには欠かせません。
財産の運用と保全
財産運用には、目的に合わせた運用が求められます。例えば、相続税納税資金として保全すべき資産をハイリスク投資に回すことは、目的にあった運用とは言えません。将来のための資産保全という目的をハイリスク運用で達成することは、確実ではないためです。
ファミリービジネスのオーナーが目的に沿った運用を行うには、次の2つを考慮する必要があります。
第1に、最後の資金の出し手としての資金を確保することです。会社業績が傾き資金が底をつきそうなとき、最後に会社を救えるのはファミリービジネスのオーナーです。よって、オーナーは「最後の資金の出し手」として一定程度流動性の高い資金を確保しておかなければいけません。
第2に、一族の一体性強化のために、一族の共有資金を確保することです。一族理念や考え方を共有するだけではなく、財産を基盤とした求心力が無ければ、一族の絆を維持することが難しくなるのもまた事実です。
まさかへの備え
事業承継において「まさか」への備えも欠かせません。例えば、経営者の認知症発症を想定した準備が必要です。経営者が認知症になると、所有株式の議決権行使ができなくなり、事業経営に支障が生じるリスクは一段と高まります。認知症になる前に後継者へ株式を承継できればこうした問題は生じないものの、承継コストなどの観点から、全株式を後継者へ承継しておくことは容易ではありません。このようなケースでは、信託を活用し、認知症になった際の議決権行使を後継者に行わせることが検討できます。長生きリスクへの備えとして、近年、認知症対策の必要性は高まっていると言えるでしょう。同様に、経済や業界の環境変化に対応するためにも、柔軟性のある承継プランの構築が求められています。
以上5点が事業承継における必要な準備事項となります。さらに詳しく解説している記事が、グループ会社「株式会社青山財産ネットワークス」のHP内にございますので、あわせてご覧ください。
【前編】「まさか」が現実となった時代。企業オーナーが事業と財産を守り、承継するために「部分最適」から「全体最適」へ
事業承継の円滑な準備のために
上記5項目を網羅した実効力のある施策の立案と実現には、一族間の良好なコミュニケーションが必要です。事業承継を契機に、承継する資産や経営権を巡った一族内の対立が生じ、事業承継の方針が決まらないことも散見されます。こうした対立構造の背景には、一族個々人の潜在的な利害対立があります。そのため、当世代の一族には各一族メンバーが持つ潜在的な利害関係を考慮したプランニングが求められます。その際、一族が本音で語り合うことのできる意思疎通の場が重要となるのです。
一族が一丸となって事業承継に臨む姿勢こそ、事業承継を成功裡に導くアプローチと言えます。しかし、その際に一族の個々人の幸せも蔑ろにしてはいけません。一族と個人の双方に利点をもたらすことを念頭に置き、多面的な視野を持った上での一族間のコミュニケーションが円滑な事業承継の土台になり得るのです。
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