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【事例】参考となるコーポレートガバナンスを持つ企業

コーポレートガバナンスの強化は、企業の経営体制の透明化と合理化を図り、企業の持続的な成長を促進するには不可欠な取組みです。昨今、コーポレートガバナンス改革を求める声は強まっており、特に、上場企業に対しては、現状の経営体制にガバナンス上の大きな問題が見受けられない場合でも、コーポレートガバナンスが未整備であることはリスクとして考えられ、市場からも懸念される傾向になりつつあります。

今回は、コーポレートガバナンスの強化を実践する際に、参考となる企業を3社ほど紹介します。下記3社はいずれも、一般社団法人日本取締役協会が2015年から始めた、優れたコーポレートガバナンス体制を整備し、実践している企業を称えた「コーポレート・ガバナンス・オブ・ザ・イヤー」を受賞した企業です。詳細は、同協会の公式WEBサイト(https://www.jacd.jp/)もご確認ください。

【参考資料】

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目次[非表示]

  1. 1.事例①:ピジョン株式会社
  2. 2.事例②:エーザイ株式会社
  3. 3.事例③:キリンホールディングス株式会社


事例①:ピジョン株式会社

ピジョン㈱は、2021年の「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」でWinner Companyとして選出されました。審査委員である伊藤邦雄教授(一橋大学名誉教授)は、「同社の資本コスト経営、PVA(Pigeon Value Added)はつとに有名。その現場やスタッフへのカスケードダウンも徹底している。CEOの選・解任にあたり、解任基準に『3事業年度連続でROEが5%未満』と具体的なのは、日本企業の中では数少ない。取締役会で年2回は議題のないフリーディスカッションを行っているのも、社外役員の知見を引き出すのに貢献している。早くから投資家を社外取締役として迎え、最近の『ボード3.0』の先駆けといえる」と、同社のコーポレートガバナンス体制を高く評価しています。

また、ピジョン㈱は、CEOの人材要件として、CEOの持つ責任・責務、その職務により期待される成果、能力要件を掲載しています。特に、能力要件については、行動特性、性格特性、経験・実績、知識・スキルの4領域に分け、CEOとして求めている要素を細かに定めています。こうした要件を社内外のステークホルダーに公表することは、透明性のある企業経営が実践できていると市場から認知され、企業価値向上にも繋がります


事例②:エーザイ株式会社

エーザイ㈱は、2021年の「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」で東京都知事賞を受賞しました。審査委員である児玉英一郎氏(東京都政策企画局国際金融都市戦略担当局長)は、「エーザイは、企業理念を定款に組み入れ『パーパス経営』を実践する先駆者です。コーポレートガバナンスに関しては、指名委員会等設置会社であることを最大限に活かし、経営の監督と業務執行の明確な分離に取り組むとともに、患者様をはじめとしたステークホルダーとの対話を重視しています。ESGの観点でも「国連グローバル・コンパクト」に署名しているほか、RE100や気候変動イニシアチブ等、気候変動に関する取組に積極的に参画しています。さらに、バランスシートに表れない人的資本への投資などの価値を数値化する試みにチャレンジし、女性管理職比率などESGに関わるKPIを選び出し、PBRとの関係を分析するとともに、その検証結果を、投資家とのエンゲージメントに用いて、ESGの取組と企業価値向上との因果関係のストーリーを積極的に伝え、見えない価値の可視化、ESGの価値の具現化、これらESGの普及にあたり、極めて重要な課題に挑戦しています。」と、コーポレートガバナンスだけでなく、パーパス経営やESGに考慮した経営体制を高く評価しています。

因みに、エーザイ㈱は創業から85年を超えるファミリービジネスであり、当世代の一族は3世代目にあたります。何世代にもわたってファミリービジネスを継続するには、そのファミリービジネスがどの様な社会課題を解決し、また、社会にどの様な付加価値をもたらすのか、社内外の幅広い利害関係者に賛同してもらうことが不可欠です。こうした観点からも、同社の優れたコーポレートガバナンス体制はファミリービジネスの永続化を支える屋台骨の役割も果たしていると言えるでしょう。


事例③:キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス㈱は、2020年の「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」でGrand Prize Companyとして選出されました。審査委員長である斉藤惇氏(日本野球機構会長・プロ野球組織コミッショナー、元日本取引所グループ社長)は、「社長自らマイケル・ポーター教授に会い、彼の唱えるCSV、即ち積極的社会貢献を実践することによって企業の成長と財務的価値を拡大するというテーマに先頭に立って取り組んでいる。社会が求める価値を創造することによって社会に貢献するという企業目的を明確にし、その実践に当たって多様性に富んだスキルの高い外部人材を経営に招き、透明性の高いガバナンス体制を構築している。」と、昨今、注目されている非財務分野においても積極的な取組みがなされていることを高く評価しています。

コーポレートガバナンスを整備する究極の目的は企業理念の実現です。企業理念の実現には、コーポレートガバナンスの強化だけでなく、社会環境への取組みや人材の育成などの幅広い非財務分野における取組みが不可欠です。確立された非財務分野と、優れたビジネスモデルとの2軸があってこそ、企業価値をより一層高めるのです。


ご紹介した3社の共通点は、市場から強いられているからコーポレートガバナンスの整備に着手したのでなく、優れたコーポレートガバナンスは自社の目的を実現するためには過程に過ぎないと位置付けている点です。月並みではありますが、枝葉の施策より根幹となる目的を明確にすることがコーポレートガバナンス整備の第一歩となるのです。

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