後継世代の成長と育成(Part2)

ファミリービジネスの永続化に必要な要素の1つに一族の個々人の成長と育成が挙げられます。Part1では、社長の想いや考えを実現するための施策としてロードマップ作成に至った経緯をご紹介しました。詳しくは下記よりご確認ください。
『後継世代の成長と育成(Part1)』


本稿は、ロードマップについて詳しくご紹介します。
Part1で触れたように後継者育成のロードマップの内容は大きく2つに分けることができます。
自己成長を促す動機付けとなる分野事業経営に求められる能力の2つの分野です。


動機付けとなる分野での学習とは、一族理念の理解・浸透を通して、後継世代が一族としての責任を自覚し、自発的に努力する姿勢を身につけることです。

そのうえで、事業承継者に求められる能力を開発するための学習領域を明示し、その習得を支援します。求められる能力とは、経営者として最低限必要な知識や経験、つまり座学的に学ぶ知識や実務的な知識、器(人間力)などが学習対象となります。

今回の事例では、座学的に学ぶ知識の計画と共に、お子様の事業経験を積むためにグループ内並びに社内でのキャリアステップも検討しました。こうしたキャリアステップを通して器(人間力)の教育・成長を促すことも狙いとしました。

キャリアステップの検討を具体的にみると、長男はこれまでグループ子会社のみの経験であったため、まずはグループ中心会社におけるジュニアボード※への参加を通して、全社戦略の経験を積みながら、長期的に取締役や代表取締役への就任を検討することになりました。同時に、グループ子会社の取締役として経営に関与していき、当面の目標として、同子会社の代表取締役就任を検討するという2軸のキャリアステップを計画しました。
長女は本人の希望(子供の育児を優先)を考慮し、一族安定株主として事業に関わっていくプランをメインシナリオとし、長期的にグループ中心会社の取締役就任を検討することにしました。

こうした自己成長を促す動機付けとなる分野と経営者に求められる能力開発を示したロードマップをもとに、後継世代の意見や進捗状況を把握しながら、後継世代自らの成長と計画的な教育を通して事業承継を進めています。
2回に分けて、後継世代の教育にかかる事例をご紹介しました。皆様の参考材料となれば幸いです。
※ジュニアボード:社内で選抜した若手・中堅社員によって構成される疑似的な経営委員会。
※ご紹介した事例は実例をもとにしたフィクションであり、登場する人物・団体等は実在する人物・団体等には一切関係ありません。

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米田 隆(監修)
米田 隆(監修)
早稲田大学商学学術院 ビジネス・ファイナンス研究センター 上級研究員(研究院教授) 公益社団法人日本証券アナリスト協会プライベートバンキング 教育委員会委員長 株式会社青山ファミリーオフィスサービス取締役 早稲田大学法学部卒業。日本興業銀行の行費留学生として、米国フレッチャー法律外交大学院卒業、国際金融法務で修士号取得。金融全般、特にプライベートバンキング、同族系企業経営、新規事業創造、個人のファイナンシャルプランニングと金融機関のリテール戦略等を専門とする。著書に『世界のプライベート・バンキング「入門」』(ファーストプレス)、訳書に『ファミリービジネス 賢明なる成長への条件』(中央経済社) 等

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